専門用語集
乳がんの治療や進行に関係した用語
乳臨床病期分類
しこり(腫瘤)の大きさや乳房周辺のリンパ節への転移状況、遠隔転移の有無をもとに、乳がんの進行度を分類することをいいます。 病期0~4の5段階と非浸潤がんに分類されます。 腫瘤(Tumor)、リンパ節(Node)、転移(Metastasis)の頭文字をとってTNM分類といいます。
原発巣(げんぱつそう)
最初にがんができたところ。
再発
治療により一度がんが消失した後、再び出現することをいいます。 手術した箇所(局所再発)やその周りのリンパ節(局所リンパ節再発)、乳房から離れた他の箇所(遠隔再発又は転移性再発)に再発することかあります。 温存した乳房に局所再発したものを乳房内再発といっています。
予後因子(よごいんし)
病気がどのような経過をとるかを予測するため因子です。 腋窩リンパ節転移の程度やしこりの大きさ、組織学的悪性度などが関係し、手術後の治療の必要性や治療方針を決めるときの重要な指標となります。
リンバ節
全身に存在する小さなソラ豆状の器官で、リンパ流の中の老廃物を除去したり、リンパ管を流れる細菌やがん細胞をろ過しています。 乳房に関係したリンパ節(乳腺所属リンパ節)はわきの下(腋窩)や鎖骨の下、鎖骨の上、胸骨の傍にあります。 転移している場合には手術で取り除き(郭清)ますが、放射線照射をすることもあります。 乳がんは比較的早期の段階で腋窩リンパ節転移を起こしていることが多く、郭清は治療上重要です。
エストロゲン
女性ホルモンの一つです。 若いときに卵巣を摘出してエストロゲン分泌が低下した女性の乳がんの発生率は、摘出していない女性の百分の一であるとされ、乳がんの増殖(発生)に深く関係しています。 臨床的に診断された乳がんは、エストロゲンで発育するもの(ホルモン依存性)と発育しない(ホルモン非依存性)性質をもつものがあります。 乳がん細胞は非浸潤がんから浸潤がんとなり、さらに大きくなるに従ってホルモン依存性から非依存性へと変化します。 ホルモン依存性の有無を調べるためにエストロゲン受容体(ER)やプロゲステロン受容体(PgR)の検査をします。
閉経状況(へいけいじょうきょう)
閉経は卵巣の機能か低下し、生理が完全に終了したことをいいます。 生理がある状態を閉経前、生理が終了した状態を閉経後といいます。 閉経前から閉経後に移行するときを周経期といいます。
局所治療(局所療法)
手術や放射線照射のように病巣やその周囲に治療が限局することをいいます。
全身的治療(全身療法)
からだの中に拡がっているがん細胞、あるいは拡がっている可能性のある微細ながん細胞を、血液中の薬によって治療する目的で行うものをいいます。 化学療法や内分泌療法がこれに属します。
アジュバント療法
術後補助療法のことです。 根治手術した後に再発するのを予防する目的で行います。
逆に、薬物や放射線による治療が主な場合は、手術がアジュバントとなることもあります。
ネオアジュバント療法
手術する前に病巣を小さくして温存術を行ったり、全身転移を根絶させて治療成績を向上させる目的で行う治療のことをいいます。 ネオアジュバント療法としては主として即効性の化学療法が行われます。
生検や手術時の病理組織検査に関連した用語
病理検査(病理診断)
前ページで説明した各種の生検で取り除いた組織を顕微鏡で調べ、病的組織があるかどうか、また、どのような組織的な特徴をもつかなどの病気の成り立ちを調べる検査です。
ガンの診断や治療計画を立てる上で、最も重要な検査です。
術中迅速診断(じゅつちゅうじんそくしんだん)
手術している途中で、メスで切除した組織の一部をす速く凍結(凍結標本)してこれを薄く切った後、染色した標本を作り、ガン組織があるかどうか、どういう特徴があるか、またリンパ節には転移があるかなどを病理学的に検査することをいいます。 10~15分と短時間で結果が得られるので、手術の適否、手術の最終方針を決める時などに行います。
永久組織標本(えいきゅうそしきひょうほん)
太針生検あるいは手術で切除した組織の切片をパラフィンで固定して作成した病理用の標本。 通常の病理検査はこの標本を用います。 凍結標本よりも鮮明かつ詳しく検査できるので、術中迅速診断で見逃したガンを発見できることもあります。
全割病理検査(ぜんかつびょうりけんさ)
手術で切除した組織(切除標本)を5㎜程度の間隔で連続して切り、ガンの拡がり具合や切除した端(切離断端)にまでガン細胞が拡がっていないかを詳細に検査する方法です。
乳房温存術でガンの取り残しがないかどうかを検査する時に行われます。 切離断端にガン細胞がある時は、温存した乳房にガン細胞が残っている可能性があり、その程度によって、再切除あるいは乳房の切除、放射線の追加照射を決定します。
リンパ節サンプリング
腋窩リンバ節郭清は、手術でわきの下のリンパ節を全て取り除くことをいいますが、腋窩リンパ節サンプリングは、わきの下のリンパ節にガンが拡かっているかどうかを検査するために、リンパ節の一部を取って調べることをいいます。 最近はセンチネルリンパ節(乳腺のリンパ流が最初に到達する腋窩リンパ節)生検が盛んに行われます。 色素法とラジオアイソトープ法 (RI )法があります。
乳がんの診断のための基本的な検査法についての用語
視・触診(ししょくしん)
乳房全体を目でみて、又は手で触れ、乳房の形や皮膚、乳頭、乳輪に異常かないか、しこりがあるかどうかを診察する方法です
マンモグラフィ
乳房のX線撮影のことをいいます
超音波診断(エコー)
超音波を臓器にあて、連座からの反射をとらえて画像にし、わずかな濃度の違いで病巣を診断するものです
穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)
細い針をつけた注射器でしこりを刺し、細胞を細針内に吸引して、ガラスに吹きつけて染色し、細胞の性質を顕微鏡で検査する方法です
分泌液細胞診(ぶんぴつえきさいぼうしん)
乳頭(乳首)からでている分泌液を取り、その中にある細胞の性質を顕微鏡で検査する方法です
太針穿刺吸引組織診(たしんせんしきゅういんそしきしん)
最近、太目の針を穿刺して組織を採取する方式が確立されました
外科的生検(オーブンバイオプシー)
ガン細胞の存在を確認するために、手術的にしこりの一部を取り(切開生検)、あるいはしこりを摘出して(摘出生検)、顕微鏡で組織を病理診断する方法です
腫瘍マーカー
ガン細胞か血液や分泌物の中に放出する物質を測定して、からだの中のガンが大きくなっていないかを調べる方法です
乳管造影、乳管内視鏡検査(にゅうかんぞうえい、にゅうかんないしきょうけんさ)
乳頭の異常分泌があり、しこりを発見できない場合に行われます
サーモグラフィ
異常な組織は正常な組織より温度が高いことを利用し、赤外線カメラを用いて、乳房の温度分布を画像として映しだす方法です
骨シンチグラフィ(骨シンチ)
99Tcというアイソトープ(放射性同位元素)で標識した物質を血管内に注射して、体内の分布状態をシンチカメラで撮影し、骨に転移していないかどうかを調べるための検査です
CTスキャン(コンピュータ断層撮影)
コンピュータを用いた特殊なX線断層装置で、からだの断面を写し出す方法です
MRI(磁気共鳴画像法)
強力な磁場の中にからだを入れるとある種の原子(水素原子)が変化するため、これを画像化して病巣を見つけだす方法です
乳がんと間違えやすい主な病気
乳腺症 (にゅうせんしょう)
乳腺の病気の中で最も多い良性の病気です。 多くは両側の乳腺に凹凸のある境界不鮮明なしこりをつくり乳がんと区別しにくいものもありますが、痛みを伴うことが多く、生理の前にしこりが張ったり、痛みが強くなるのが特徴です。 40歳代に好発します。 普通、治療の必要はありませんが、痛みがひどい場合には、薬物治療などを行います。
乳腺嚢胞(にゅうせんのうほう)
乳腺症の一つのタイプで、乳管の中に水がたまった袋ということができます。 超音波検査で適格に診断でき、注射器でしこりの中の水を吸い出すとしこりは消失します。 閉経し、60歳くらいになるとほとんどみられなくなります。
乳腺炎(にゅうせんえん)
通常、授乳中の人に起こります。 主に乳汁がたまって、乳頭から細菌が侵入して起こります。 乳房が赤く腫れ、熱がでます。 中年女性でもこれに似たものがあり、症状が軽度で、慢性に経過しているものは、乳がんと区別しにくいことがあります。 この慢性乳腺炎と近縁の疾患もいくつかあります。
乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)
15~30 歳位の若い人に多い乳腺の良性の腫瘍です。 硬くて丸い、くるくるよく動くビー玉のようなしこりであることが特徴です。 通常、しこりは小さく、3cm以上になることは少なく治療の必要はありません。 しかし、まれにしこりが急に大きくなることがあり、この場合は摘出手術が必要となります。
乳腺葉状腫瘍(にゅうせんようじょうしゅよう)
乳腺線維腺腫と良く似ていますが、しこりが急速に大きくなるのか特徴です。 基本的には良性ですが、悪性化するものがあり、手術により正常乳腺を含めて大きく切除する必要があります。 悪性のものの中には、肺をはじめ全身へ血行性転移をするがんより恐ろしいものもあります。
その他用語
QOL
クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略号です。 考えられる効果を追求するあまり、医療側が独走して患者さんのからだに負担の大きい治療を行うことを避け、治療効果とそれに伴う副 作用や生活への影響を考慮しながら、患者さんが身体的にも精神的にもよりよい生活を送れる治療を行うという概念に基づいてつくられた言葉です。
セカンドオピニオン
最初の診断結果や治療法に納得できなかったり、納得しても念のため、別の専門家の意見を聞くこと。 これを「セカンドオピニオンを得る」といいます。
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